ふわふわの泉 (ファミ通文庫)

ふわふわの泉 (ファミ通文庫)

ふわふわの泉 (ファミ通文庫)

部屋の掃除をしたら未読のまま埋もれていたのが発掘されたので、読んだ。
ある得るかもしれない科学的フィクションを導入して、その後は既存技術の延長で大きな話を描いてみせるというハードSFの醍醐味を満喫した。
劇中では「ふわふわ」という特異な物性を持つ素材を作ってしまった女子高生がその素材を使って色々なものに挑戦していくという話。比重が小さいので、飛行船の素材に始まり大規模構造物とかと作っていき、最後にはタイトルの元ネタとなっているアーサーCクラークの「楽園の泉」と同じ軌道エレベータかと思いきや、軌道カタパルトを作るという話。やはりリアリティという点では夢のような新素材を導入しても軌道エレベータは難しいか。軌道カタパルトにしても途方もない規模の構造物になるので、実際にはこの話のようにトントン拍子で建造というわけにはいかないだろうな。大規模プロジェクトは遅れることはあっても前倒しになることが皆無だし。
しかし、これだけ夢のような素材のフィクションを持ってしても宇宙は遠い。