友人を訪ねて

高校時代の悪友の一人が信州で勤務医をやっているのだが、彼が当時の友達に声をかけて遊びに来いと言って周っているのでそれに乗って遊びに行ってみた。
大学を出てからそのまま地元の病院の勤務医になった彼だが、専門は内科。本人が望んでのことらしいが、配属が救急だったらしく酷い激務実態を聞いてしまった。IT関連企業の激務ぶりは普段から見聞きする私だが、それはとちょっと桁が違うと思った。曰く「病院から200mぐらいのところに住むのが雇用条件」「今の職場になってから市外に出たのは親戚の葬式などで数回だけ。年末と盆も実家に帰ってない。」「(市内の)5分で駆け付けられない場所に移動するときは、病院に一言連絡を入れる。そのときに担当する患者の容態をチェックする。」「半年近く連続勤務が続いた」などなど
IT関連では「シクっても人が死ぬわけじゃないしねー」というのが最後のラインとして有るが、こちらは本当に人が死ぬから責任の大きさの桁が違う。
明らかに労基法違反な感じなのだが、その地方の救急救命を一身に担っているので行政も黙認状態なのだとか。酷い勤務状態なので、同僚の損耗率も高いらしく2、3年で人員がほとんど入れ替るらしい。
私からすれば市内から出ることがほとんど無いというのが、精神的に辛そう。本人はその点についてあまり気にしていない様子だったが。オフのときを使って市内の温泉に連れていってもらい市内を一望したのだが、山に囲まれてる箱庭のような風景を見ていると牢獄のように感じた。地方都市の医療は多かれ少なかれ、このような人材を擦りおろす体制によって支えられているのだろう。医師の年収が高いことぐらいは正当化されて然るべきだと思った。
前線志望の彼もさすがにこの激務には耐えきれなかったらしく、心が折れてしまったので来年度からは多少場所を変えて医師人生を続けるらしい。
彼の人生に幸多からんことを