Delphiで作ったプログラムに著作権が認められなかった判決

/.jpではヒステリックな反応がされていたが、「ほんとうにそんな判決なのかぁ?」と思って、実際どういう判決だったのか全文アップロードされていたので拾い読みしてみた。
私は法律に関しては完全に素人なんだけど、結構深刻な判決なように思えた。判決本文では件のプログラムがどういう機能で構成されているかについて、個別に考察しているようなんだけど、それぞれの機能の実装で逐一創発性が否定されている。
例えば、プログラムの創作性についての言及では以下のような文言があった。

(ア)しかしながら,著作権法2条1項1号が,著作物を「思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」と定義するように,著作権法は,創作性ある「表現」を保護の対象としており,プログラムの著作物も例外ではないから,プログラムの著作物は,プログラムの創作性ある「表現」を著作物として保護するものであって,「表現」されたものの背後にある原理,アイデア等については,その保護は及ばない。したがって,さきがけの機能としての画期性,独自性は,直ちにプログラムの創作性を意味するものではない。

(イ)もっとも,あるソフトウェア固有の機能を実現するためには,ほかのプログラムにはない,独自のプログラムを作成する必要があり,そこに創作性が認められる場合があり得る。

つまりプログラムが著作物であるための要件としては、ある機能を実現するのにそのプログラム固有であるという独自性が必要ということ?うーん、それってハードルがかなり高いな。仕事で書くコードは、効率などは考慮しつつもつとめて平易でありがちな表現を使うようにしている。これだと下手をしたらプログラムの「表現」自体は著作権が生じないかも。創作性と可読性を上手い具合に両立させることが出来ているプログラマなんてそれほど多くはないと思う。
物を書いたり考えたりすればすべからく創作として見做され著作権が生じるとわけではないとは聞いていたけど、コンピュータのプログラムでこれが問題になったとは初耳だった。特にRADで書いたコードだと細々とした手続きは自動生成で済ませられてしまうので、より個別の実装での独自性が求められているという事だろうか。
識者による解説が読みたいところ。