家畜人ヤプー〈第5巻〉 (幻冬舎アウトロー文庫)

家畜人ヤプー〈第5巻〉 (幻冬舎アウトロー文庫)

家畜人ヤプー〈第5巻〉 (幻冬舎アウトロー文庫)

読了。リンクは5巻だけだが、一応それまでも全て読み終えた。5巻だけが何故か店頭にもアマゾンの新品でも在庫がなく、暫く放置していたのだが、プレミア価格のついていない古本を発見したのでなんとか最後まで辿りついた。
基本的な話の流れは主人公の日本人青年が婚約者の白人女性と未来から来た旅行者と出会い彼らの時代へ行くのだが、その世界では日本人の末裔はヤプーと呼ばれ、人間扱いをされず家畜として虐げられているという世界だったという話。その世界では生活のおよそ全ての局面でヤプーが使役されている。その上、現在の日本の文化はこの世界から時間を遡って伝わったものという設定。その牽強付会ぶりはなんというか、民明書房を遥かに越えるというか、それらのダジャレが延々と全編にわたって展開される。こんな話をいい大人が真面目な顔をして書いていると思うと、ちょっとほほえましい。
稀代の怪作とか散々煽り文句を耳に入れてから読んだためか、奇抜さという意味では若干肩透かしをくったように感じた。最初に世に出たときはそれは驚天動地の出来事であっただろうが、時代が進み他の(文学に限らず)変態的な作品が出ているご時世ではそれほど突飛ではないかもしれない。最初の出版から様々な出版社での再版を重ねて現在に至っている様子があとがきからも分るが、本当にニッチで多くの人から忌避されるような内容であればこんなことにはなっていないはず。もはやこの程度は「変態」ではないのだろう。