流行らなかった(あるいは廃れた)技術

Secondlifeにまつわる一連の話を見ていて、一時は耳目を集めたもののその後廃れてしまった技術は結構あるなと列挙してみた。

NetNews

今や悲しくなるぐらいの廃れっぷり。Googleがウェブとのゲートウェイを用意しているので、使う気があればそれほど敷居が高くないと思うのだけど、やはり人が居ないのが最大の欠点か。日本のインターネット普及期(1998年ぐらい)において、fjの独特な雰囲気とそのオルタナティブ的役割を果した2chがあったことが原因ではないかと思う。
アーキテクチャ的にはそれなりにスケールするモデルだったのだけど、今やINNとかを正しく設定できるエンジニアは老舗ISPでも絶滅危惧種に近い。alt.binariesとかはまだ元気にエロを配っているのだろうか。
2ch専用ブラウザの組合せを見ていると先祖返りしているようで不思議な感覚にとらわれる。そのうちP2Pでデータをバケツリレー方式で転送し始めたらそれこそ「時代は繰り返す」だ。今のうちにUUCPを勉強しておこう。

VRML

あったねー、こんなのも。数社からVRMLレンダリングするプラグインが出ていたけど、当時の貧弱なPCと回線ではとても実用にはならなかった。
コンシューマゲームを作っている人が今でもこの技術に注目していたのが意外だった。その人からすれば今のウェブの表現力には大いに不満があるらしい。だが、実際UIとして使うときに具体的なアイディアがあるわけではなかった。
結局使っているサイトは本質的に3Dで表現する必要のない物まで無理矢理表現しようとしていたりして、なんだかなという感じ。

プッシュ技術

Pointcastとか一時はいい線いっていたのだが、Castanetとかアプリケーション自体をプッシュで配布とか壮大な話が出始めたぐらいで急速にしぼんでいった。
当時から常時インターネットに接続されていた企業内のPCでは便利に使われていたそうだけど、スケーラビリティにやや難があったみたい。ただこれにしたって専用プロキシを作ればどうにでもなったはず。今なら新たなプロトコルを立ち上げるのではなく、HTTPで包むという発想になると思う。そういう意味でレイヤが少し違うがCometがその子孫かもしれない。
ちなみに、Pointcast関連の用語をググっていたら、「もしかしてPodcast」とか言われた。嗚呼、Googleお前もか。

クライアントサイドJava

EclipseがUIはネイティブで書くべきという方向を決定的にしてしまい、フルJavaアプリというのは滅多に見なくなったように思う。だけど、V2Cなどを触った感じでは書く人が書けば十分に実用レベルで動く物が作れるのではないだろうか。
個人的にはJavaアプレットを必要とするウェブを見ることがあるので、必ず端末にJREを入れているのだが、一般的な普及度という意味ではどれぐらいだろう。

NC

NCに限らず、WebTVとかインターネット内蔵TVとかウェブ見るためだけの簡易端末というのはことごとく失敗した。当時からウェブ技術は日進月歩なので、固定仕様の簡易な端末では十分な体験を提供出来ないので失敗するという言説はあった。
その後、PCが劇的に安くなったのでコスト面での優位は崩れてしまったし、一人一台の携帯に比べればTVの前に固定する端末というのは利便性でも劣っている。当時普及の鍵だと言われていた広帯域の常時接続だけは普及したが、今後普及するというのは考え難いだろう。
今なら、Wiiがその立ち位置にもっとも近いか。Wiiのインターネット接続率が40%らしいけど、それにしたって出荷台数が半端なく多いのでリビング端末としては過去最大のプラットフォームだろう。しかし実際どれぐらいのユーザがWiiでウェブを見ているのだろう。第三者Wiiに特化したサイトを作る動きなどは今までに無かったものだ。ちょっと注意して見ていきたい。

ブラウザ用プラグイン

結局Flashしか生き残れなかったけど、1990年代後半には多くのプラグインがあった。
やれこの形式の画像を見るためにはこのプラグインが必要です、云々という文句を多くのサイトで見掛けた。ところが、プラグインを入れてまで見るようなコンテンツがあまり無い→ユーザが少ない→コンテンツが増えないというスパイラルから抜けだせないまま減っていったようだ。
今も昔もIntelアーキテクチャのWin32にさえ対応していれば市場の9割はターゲットにできるわけだから、プラグインの開発の困難さが原因ではないだろう。ようはエンドユーザに対してインストールという手順を必要とさせる時点で敗北なのだろう。ブラウザの初期バンドルに入れることが生き残りの最低条件だった。
かろうじてこの文化の残滓といえば各種サイトのツールバーだろうか。これにしたって、ツールバーが無くてもサービスが受けられるので、あくまで利便性を向上させるためのプラスアルファのアクセスパスというだけ。これを入れなればコンテンツを見せませんというのはやはり無理があるようだ。