光の塔 (ハヤカワ文庫 JA 72)

光の塔 (ハヤカワ文庫 JA 72)

光の塔 (ハヤカワ文庫 JA 72)

読了。
最初の発表が1962年ということもあって内容や描写は非常に古臭いのだけど、それが作品の価値を減じるどころか作品中の世界観構築にプラスになっているように思う。人類が太陽系の他の惑星系にまで進出している設定なのだけど、世界観もあってかなんとなく流線型のロケットで惑星間を行き来していたり、火星人はタコっぽい生き物であるようなビジュアルが想像された。
話としては「光」という侵略者によって人類が蹂躙されてから、反撃していく話。張った伏線は丁寧に回収していくし、オチも綺麗につけてくれている。
国産の古典SFとしてはかなり有名らしく、著者の今日泊亜蘭という方は明治生れにして現在もご健在であるらしい。なんでも電脳という単語を発明された方でもあるらしい。本作でも言葉が重要なアイテムとなっているシークエンスがあった。年を重ねた方の話は大抵面白いものだが、この方は今のネットワークとかコンピュータについてどういう風に見ているのか話を聞いてみたくなった。