7月に読んだ本

「空気」の研究 (文春文庫 (306‐3))

「空気」の研究 (文春文庫 (306‐3))

たまにはこんなのも。
話自体はフンフンと読んだのだけど、日本の社会についての分析はわりと少ない論拠で断定的に語っているように思えた。
社会的な熱狂によってあらぬ方向へ進むという現象自体は日本特有のものではないと思う。流石にいい大人が空気を言い訳にするような事は他国では無さそうだけど。

ハイパフォーマンスWebサイト ―高速サイトを実現する14のルール

ハイパフォーマンスWebサイト ―高速サイトを実現する14のルール

このタイトルからするとなんだか、サーバを並べたり高いプロセッサで高速化する話のように思えるが、実際はユーザがウェブを見るときの体験を何如に高速化するかという内容。
執筆当時Yahoo!のパフォーマンス担当だった著者が、どうやってユーザ体験を改善していったかがベースになっているのでかなり実際的。deflateやgzipで転送量を減らすとか、DNSの名前索きを減らすためにFQDNを集約すべしとか、逆に1FQDN当りのコネクション数の制限を回避するためにホスト名を分散させる方法とか。個々のテクニック自体はウェブサイトを作っている人間ならば耳にしたことのあるレベルの内容なのだが、いずれも確固たるデータや経験を背景にしているので非常にためになる。
本文ではさかんに米国のトップ10のサイトが例に上げられるのだが、こういったサイトでも十分にチューニングされていないところが大半。案外こういった視点からサイトの改善を行っているところは少数なのではないだろうか。ほとんどの指標でGoogleは最も優秀だったのは流石だと思った。実際に適用するとなると、話はサーバの設定だけでなく、コンテンツやデザインに絡むこともあるので組織横断的に改善を実施する責任者が居ないと難しいだろうな。
ちなみに著者の人はその後Googleに転職したそうだ。

遠すぎた星 老人と宇宙2 (ハヤカワ文庫SF)

遠すぎた星 老人と宇宙2 (ハヤカワ文庫SF)

ジョン・スコルジー「老人と星」の続編。あいかわらず、SF的お馬鹿さに溢れる楽しい作品。
前作では奇矯な集団として描かれていた特殊部隊のメンバーが、かなり普通の人間として描かれている。前作のときにあったような得体の知れないことから来る恐ろしさがすっかり抜けてしまった。主人公として話をすすめるとこうなってしまうのはわかるのだけど、これだとあまりに普通の人間と変わらん。あの特殊な出生からすると普通の人格に育ちすぎな気も。
ポール・バーホーベンあたりで実写化を希望。

警士の剣(新装版 新しい太陽の書3) (ハヤカワ文庫SF)

警士の剣(新装版 新しい太陽の書3) (ハヤカワ文庫SF)

クレィドゥ・ザ・スカイ―Cradle the Sky (中公文庫)

クレィドゥ・ザ・スカイ―Cradle the Sky (中公文庫)

ヴァレンティーナ―コンピュータ・ネットワークの女王 (新潮文庫)

ヴァレンティーナ―コンピュータ・ネットワークの女王 (新潮文庫)

sodaさんお勧め。確かにコンピュータ描写が面白い。
こんなマニアックな描写をしても一般の読者は引いちゃうだろー、とも思ったがよくよく考えれば作中でもあるような法廷物のように、専門用語が飛びかっていて詳細はよくわからないけどなんとなく雰囲気だけでも面白いというように読めるのかもしれないと思った。
ヴァレンティーナに言わせると人間が酒を呑むというのは「浮動小数点演算でもするような事かな」とのこと。