ひとりっ子 (ハヤカワ文庫SF)

ひとりっ子 (ハヤカワ文庫SF)

ひとりっ子 (ハヤカワ文庫SF)

読み終えた。
前回読んだディアスポラと違って短編集なので、かなり読み易くそれでいてエッセンスが詰っている。テーマは脳内改造話、観測問題多世界解釈
脳内ネタは以前の短編で使われたし、多世界解釈は概念上のものであって物語に導入したときの派手さはイマイチな感じ。やはり目玉はトンデモ度でもNo.1のルミネスだったかな。
グレッグ・イーガンの作品は何が面白いって、色んなものに対して冒涜的なんだよな。脳内改造話は脳内物質の複雑さに対しての冒涜だし、「ルミネス」は数学のイデア的側面への冒涜だ。理系な人なら誰でも一度は考えるであろう「こんなもんxxxする技術が出来ればすぐに解決だろ」的傲慢を無茶なレベルまで進めて突き抜けた感覚が気持ち良いのだ。
ただ、もはや電算機の能力向上に夢を持てなくなった私には、コンピュータの計算能力に対する見積りが甘すぎるように思える。やはり理学系の人はどうやって実現するかという工学的プロセスには興味ないのかなぁ。