NOR型フラッシュをDRAMの代替に使う

スパンションジャパンは6月25日、DRAMに代わる新しいメモリ「Spansion EcoRAM」の計画を明らかにした。EcoRAMは、データセンターのサーバに搭載されるDRAMの置き換えを狙ったもの。

http://www.atmarkit.co.jp/news/200806/25/spansion.html

全然話題になっていないけど、これって結構面白い技術なんじゃないかな。
ようするにNOR型フラッシュをDRAMの代りに使うもの。主記憶にDRAM以外の素子が使われるのはメインストリームのコンピュータでは久しくなかったので、ちょっと期待。
記事を@ITの記事を書いた記者が例の「解読不能は数学的に証明済み」という不思議記事を書いた方で、とても日本語が怪しいため元のプレスリリースを読みつつ解読してみた。
NOR型フラッシュというのは、現在ストレージなどで一般に使われているNAND型フラッシュと異なり通常のアドレッシングで読み込みが行える素子で、集積度や書き込み性能などの点で改良したためDRAMの代替としての可能性が出てきたということらしい。
以下はWikipediaなどを見つつ主な記憶素子の特性を表にしたもの、ハードウェアはど素人なのでつっこみ歓迎。

read write 消費電力 集積度 耐久性 信頼性
SRAM ×
DRAM ×
NAND型フラッシュ ×
NOR型フラッシュ ×
改良NOR

DRAMに対するメリットとしては、記憶素子そのものがキャパシタではないためリフレッシュが不要で消費電力が小さいことや、宇宙線などに起因するソフトエラーが少ないことが上げられるらしい。集積度についても、多値化することでかなりの大容量の物が作れるようだ。読み出しだけに限ればDRAMと遜色ないというのが自慢らしい。書き込み性能は従来のNOR型との比較しか言及しないところを見ると、まだDRAMよりは遥かに遅いのだろう。
今回の発表では、Viridentが開発したソフトと組み合わせることでEcoRAMという製品にするということらしい。このViridentが作ったGreenGatawayというのが具体的にはどのような技術なのかは、プレスリリースには抽象的な言葉で語られているのでよくわからなかった。
DIMMをこのEcoRAMに差し替えればすぐに動くという物ではなさそう。計算主体のノードには向かないと書かれている通りで、データを大量に扱うノード向けだろう。また、読み書きの速度差が極端にあるので、現行のアプリケーションをそのまま適用すると凄くパフォーマンスが悪いということもありそう。しかし、数百Gクラスの主記憶が現実的な価格で買えるというのは色々と妄想が広がる。