Google StreetViewの雑感

サービス開始から1日経ってやや落ち着いたので、考えたことを書いておく。

容量とかコスト

職場の人間はこのサービスを見てその内容はもちろんだけど、データ量の膨大さや撮影にかかるコストを想像して驚いていた。
データの容量自体は、今までもとてつもない量を扱ってきたGoogleなので、問題ないのはわかる。撮影にかかるコストというのは物が動くために、今までとはまた違ったコストになったのではないだろうか。
個人的にはサービス初日に、多くのアクセスが来たであろうに過負荷で問題になるようなことがなかったことも凄いと思った。一般のメディアに露出したためか、開始後2日目の今日には何度がレスポンスが帰ってこないときなどがあった。

マッシュアップ

このサービスのデータも早晩API経由で提供され、外部サイトが利用可能になるものと思うがどういった応用があるだろう。
直ぐに思いつくのは、駅からの道順案内をStreetViewの視点から連続してみせるようなサービスだろう。地図上で開始と終点を指定するとそこを歩いたときの視点で案内するなどというのは便利そうだ。現在一般的になった、店舗案内用にGoogle Mapsを貼っているサイトが、同じように駅からの道順案内ボタンを付けるようなイメージ。
あとは、純粋にデータとして使ってよいなら、ゲームの背景画像として使うというのが面白いだろう。Mapsのときにもサーキットの上をJavaScriptで制御した車を操作できるといったミニゲームを作っていた方がいたが、こちらならさらに色々と遊べそう。実背景を使ったGTAとか、視点が固定されていてもよいガンシューティングなどは簡単に作れそうだ。高速道路のデータもあるので、視点の連続移動ができるように補完ができれば、レースゲームとかも可能だろう。市街地では当り判定が難しいかもしれないが、Google Earthで使っている建物のポリゴンデータと組み合わせればなんとかなるかも。

外部デバイス

最初に感じたのは、これさえあれば「道に迷う方が難しくなるな」ということだったのだが、それもデータを持ち出せればの話。
おりしもiPhoneGPSを搭載したため、詳細な位置が取得できるようになったが、StreetViewのビューアとして使えると非常に便利だろう。タッチパネルのUIも非常に向いていそうだ。ただ残念なのは、iPhone電子コンパスまでは搭載していないので、方位に合わせて映像を動かすというところまでは出来ないところ。
方位に合わせて映像を動かすことができれば、もはや実映像に被せてしまってもいいぐらいだろう。最近地図にビル名まで記載されるようになったので、建物とその名称の対応はデータとして有るはず。それならヘッドマウントディスプレイ上にStreetViewの映像とビルの名称情報などを表示させて、ARっぽく使うと非常に便利そうだ。

撮影されていない場所

撮影された場所は道路が青く表示されるので、大きな縮尺で見ると都市部では撮影されていないところが目立つ。
通常は大きな公園や大学などの公道扱いになっていないところがそうなのだが、通常の市街地でも撮られていな場所がある。大田区蒲田の周辺やその他関西などでも歯脱けのように撮られていないところがあるのだ。
現状では、更新のタイミングか撮影したけど天候などでボツにしたなどが考えられるが、やはり細々撮影するにはまずいと判断したのかな、など黒い想像が頭をよぎる。

競合

GoogleがEarthやMapsの航空写真を開始したときには、Yahoo!Microsoftが競合サービスをほどなく開始した。
後発だけあって、より詳細なデータであることやビルの構造が含まれるとか付加価値を売りにしていたが、このサービスではどうだろう。Googleは今回自前で車を用意して撮影したらしいので、競合は航空写真のように買ってきて即同じ水準のデータを揃えるのは難しいのではないだろうか。同じような街頭写真を蓄積している会社もあると聞くが、同等以上にデータを揃えているところは無いのではないだろうか。

プライバシーとか

今の自宅も撮影エリアにあったので、玄関の数メートル前から撮ったのだろう写真があった。表札まで読める距離だ。
正直言って気持ちはよくない。が、冷静になって考えてみると撮った場所は公道だし法的には問題ないかもしれない。個人が街中で写真を撮った際にも、他の人が写っていたとしても個人特定できなくすればウェブに上げておいても問題になることはないだろう。Googleがやったのはそれの非常に大規模になったものと考えれば、それほど横暴とは思わない。もちろん、現状行なっている顔へのぼかし処理は精度的にまだまだだと思うし、見る人が見れば個人を特定できるレベルだと思う。
この問題についてはやはりアルゴリズム的に解決するというので、同じ場所で複数枚撮影し合成するときに人間などを自動で消去するような手法がとれないだろうか。そちらの方がデータとしても意味があるものになると思う。

ひたすらデータを集める

今回の件で改めてGoogleの情報収拾への執着の深さを思い知らされた。よくMicrosoftボーグに喩えられるが、こと情報を集めることに関してはGoogleの方がはるかにボーグ的
ボーグよりも暴力的ではない分不気味なぐらいだ。外部から見ると無目的とも思えるが、偏執狂的に情報を収拾する種族なんてのはどこかのSFの題材になっていそう。