friioの鍵サーバとかPT1とか

いや、物が出たことは画期的なんだけど、どちらも予測されていた事なので「思いもよらなかった」とか「こんな方法があったとは」というのは違うのではないかな。どちらかと言うと、ようやく出たかという感じ。
PT1については、去年の12月に日経BPが出していた記事に

FriioB-CAS社による審査を受けておらず、B-CASカードを添付していない。また、ユーザーに対しB-CASカードの不正入手を促している

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20071217/289646/

としてFriioの問題点として指摘しているが、逆に言うとB-CASカードの入手以外についてはFriioという製品自体の違法性は指摘できないとしている。記事では4つの問題点として挙げていて、上の引用はその1つめなのだが、残りの問題点はようするにB-CASの審査が通らないであろう理由を挙げているに過ぎないし、それが違法ではないことは記事にある通り。
Friioの場合はB-CASカードの入手法を推奨している点がグレーだけど、カードリーダー機能自体を製品に含めないので、更に問題点を指摘するのが難しい。別途ユーザがリーダーを用意し、B-CASカードを不正に入手する「可能性」があるというだけでは製品を違法とすることは無理だろう。

仮にFriioの関係者を摘発したり機器のさらなる出荷を差し止められたりしても、今後類似の事件が続発する可能性が高い

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20071217/289646/

として、今後同種の製品が出ることもこの時点で予測されていたこと。3波対応の4chチューナを2万円を切る値段というのも、先行する製品との価格競争力を考えれば突飛な値段ではない。ただ、国内メーカがあからさまに、あれ以外の用途では使いようのない製品を出すのは意外だった。次はてっきり中国あたりの怪しいメーカか同人製作だろうと予想していた。
Friioの鍵サーバについても、同じ記事には最後のページで

さらに恐ろしい、こんな発言もある。「現行のFriioは、きょう体にB-CASカードを挿して中に入っているMULTI2の復号鍵を取り出して使う仕組みだ。今後は、復号鍵をP2Pネットワークで配信するという形態が出てくるだろう」(業界関係者)。こうなると、ユーザーはインターネットにつながってさえいれば、B-CASカードを挿さなくてもスクランブルを解除してデジタル放送を視聴できてしまう。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20071217/289646/?ST=broadcast&P=5

とあるように、ネットワーク越しで鍵をやりとりされる可能性についても既に指摘されている。今回の実装では鍵を集約するサーバを用意したようなので、記事で指摘していた実装よりも貧弱なぐらい。今のようにサーバ側で鍵を集中管理する形態ならば、B-CAS側でその情報を見て特定のIDを無効にするなどして対抗策がとられるのは目に見えている。
この2つの製品でB-CASのアクセスコントロール技術はますます有名無実化したのは確かなので、今後は法的エンフォースメントへ議論が進むのだろう。