メディア・パブ: 本気なのか“GoogleNet”,太平洋海底ケーブルにも食指が動く

Googleはこちら方面のインフラへの投資を行う素振りを見せていたので、計画自体は予想通りといったところ。
まずは海底ケーブルのコンソーシアムに参加して、1メンバーとしてノウハウを蓄積しましょうというフェーズなのだろう。海底ケーブルしかも太平洋を跨ぐような大規模な計画は投資単位が大きすぎるため、単一の通信会社が計画から実施まで全てを担うことはほとんどないのが現状。実際に敷設されているケーブルシステムは主にケーブルの両端の国の通信会社が出資し合って作るケーブルコンソーシアムというところが実際の運営を担う体制となることがほとんど。もちろん参加企業は敷設後のケーブルに対して利用権を持つわけだけど、これも無料というわけではない。また、コンソーシアムに参加していない企業に対しても帯域を販売することもある。
こういうケーブルコンソーシアム方式以外にも単一の企業体がケーブルを敷設してキャリアに販売するような場合もある。この方式をとる企業ではよく事業に失敗してChapter11を出すところがあるので、Googleの投資では次のフェーズでこの種の企業を買収するのではないかと予想。
いずれの方式も線を沈めればハイ明日から使えますという単純なものでは済まなくて、両端の陸揚げ局の運用から故障発生時*1の修理船の手配やら多重化装置のアップグレードなどなど、案外ランニングがかかってしまうもの。だから、国際通信を専業で行う通信会社で事業単体として黒字の会社は一社も無いと言われている。
Googleのやる事だから一味違ったアプローチを取ってくるとは思うが、今までのように規模のメリットが直接生かせる分野ではないし物理的制約が多い分野だけにちょっと難しい挑戦になるんじゃないだろうか。まずは太平洋を超える線を買うようだけど、日米線は帯域、値段ともに十分リーズナブルなので、主たる目標はやはり米中線だろうな。中国は線を持っていってもISP事業に対する外資規制が厳しいのでおいそれと繋いでくれない。Googleの今までの実績から言うとローカルの規制に対してはそれほど強硬な態度で臨まないことが多いので、どう出るのかは興味深い。
こんなときにこそ海底ケーブルの運用経験もある私を採用してくれていれば!、って面接で落とされた奴が言うことではないか。

*1:東アジア近海のケーブルは特に故障率が酷く、浅い海のため漁船の網による損傷や地震による切断などがしばしば発生している。