Desireのヒットが怖い

国産の携帯電話メーカが本当に絶滅するんじゃないだろうかと心配になってくる。
PCではあまり詳しくないユーザが同梱ソフトの多い国産PCを買い、ちょっと価格性能比に敏いユーザがBTOメーカのを買い、完全に自由にいじりたいユーザがショップブランドや自作に走ると棲み分けが出きていた。これは歴史的にPCの普及初期に国内のメーカが実施したイメージ戦略や流通構築の結果であって、ある程度知識のあるユーザなら積極的に国内メーカを選択するのに合理性はない。
しかし、スマートフォンにおいてはその普及初期(まさに今)からPCにおける外資系PCのようなプレーンだが価格性能比が高いモデルが普及しそう。XperiaがPCにおけるVAIOのようなバンドルソフトを大量に抱き合わせた国産PCの位置だとすれば、HTC DesireはプレーンなPCだろう。
PCではWindows98前後の時期に家電量販店の店頭に国産のPCが大量に並べられて、パソコンと言えばNECなり富士通なりSONYなりを第一候補として検討するというパターンが消費者に刷り込まれた。順序としては外資系PCメーカが店頭に場所を確保したのが比較的後になってからであり、台湾系メーカはもっと最近だ。
Xperiaはそういう文脈で比較的オーソドックスな戦略で、成功したのも予想の範囲内。しかし、他の国産メーカが続くどころか1台も出しておらず、Xperiaとほぼ同時期にHTC Desireのようなプレーンで価格性能比の高い機種が普及するのは恐しい。消費者に「ああ、これで十分だな」という認知が出きてしまった可能性がある。
昨今はPCですら台湾メーカとの価格競争で消耗戦を強いられるのに、新しいデバイスであるスマートフォンの普及初期にイメージ形成が出きないと高付加価値戦略が取れなくて更に絶望的な戦いになりそうだ