インターネット封鎖の方法
- エジプトはどうネットを遮断したのか? | ギズモード・ジャパン
- Blog | BGPmon
- Yoshinobu Matsuzaki on Twitter: "エジプトのインターネットの遮断具合はすごいな。日本時間で01/28 07:35頃に経路がざくっと消えてるので、この頃に遮断が行われた模様。学術系の接続が一部生き残ってる様に見える"
エジプトのインターネット封鎖が意外と世間の注目を集めているので驚いた。過去に政変の発生した途上国では規模の差はあれど、幾度が見られた現象なので何故今になってという思いも若干ある。エジプトという比較的規模の大きい国家で実施され実際に影響範囲が広く、twitterのようなソーシャルメディアでの内情の流布がある状況だったのが原因だろうか。
ギズモードの記事によるとエジプト国内のISP全体に対する措置ではなく、対外接続を持った大手ISP数社への要請として実施されたようだ。しかし、影響範囲は甚大でほぼインターネット上からエジプトへ向かう経路が消失したと言える。
経路制御における経路広報と通信は方向が逆で、広報をするとそこへ流入するトラフィックが発生する。今回は経路の取り消し(WITHDRAWN)が発行されたらしいので、そこへ向かう通信が消えたことになる。ただし、IIJの松崎さんのtweetにもあるように学術系の一部の経路は残っていたようだ。
私が旧体制の担当者だとして、インターネットを遮断しろと命令されたらやはり同じ措置を思いつくだろう。
今回の措置に対する意図だが、内情を国外に流布されることを防止するのと海外からの反応を国民が受けとれないようにするための二面あると思う。幸か不幸か前者についてはあまり効を奏していると言えないようで、何かしらの経路を通じてtweetがされているようだ。
例えばこれが日本で実施されるとするとどうだろう。実施される状況や法的根拠を一切無視した上でできるかどうかというところだけを考えてみる。
日本国内にもISPは非常に多いが、実は国外との接続を直接持っているISPは少ない。大手キャリア系(net.net,KDDI,旧JT)の他は独立系(IIJなど)や外資系など恐らく10社をやや超える程度しか無いのではないだろうか。他のISPはこれらからトランジットを買っているだけで、直接海底ケーブルを借りているわけではない。帯域も大手数社で大半を占めている状況なので、実際にその大手が封鎖に応じたら残る帯域では十分にサービスが提供できず、事実上封鎖は成功するものと思われる。
国の内部での通信を止めたい場合はIXへの閉鎖命令となるだろう。ただしこれはISP同士の直接通信が残るので、大半を止めるまでには至らないと思われる。
国内での通信閉鎖という意味では携帯電話が無視できない。こちらはもっと簡単で主要事業者の3社とほか2社程度に規制を命令するだけで可能。しかし完全に停波させると影響が大きいので、実際にはウェブやメールの通信内容に対する規制に留めるのではないか。
WikiStart - Open-Mesh - Open Mesh
今回の通信規制に反応してメッシュネットワークへの注目も集っているらしい。Linuxでは先頃のリリースでOpenMeshの実装を統合したばかりだし、今後実用になっていくのかもしれない。
http://wiki.freebsd.org/WifiMesh
FreeBSDでは802.11sの実装が実験されている。
メッシュネットワークも面白いのだけど、日本のような地理的条件では最終的に海を超える方法を考えておかないといけないのではないかとも思う。
PSPの新型の噂について
ARMによる本格サーバ
http://www.linuxfordevices.com/c/a/News/ZT-Systems-R1801e-/
が出始めたようだ。ただしまだ評価機という扱い。
- 1Uの筐体に最大8個のSoCを搭載して、
- 1つのSoCに2コア
- 全体では16コア
- 1つのSoCごとが独立した1つのホストになっており、これをSoM(System On Module)と呼んでいる
- ホスト毎に1GBのDDR3と1GBのNANDフラッシュを搭載
- ホスト毎に80GBのSSDを搭載
- Gigabit Ethernet x4+IPMI用Ethernet x1
- 内部にL2SWを搭載して、各ホストから独立し
- 消費電力は80W未満
1Uに16コアというと凄いけど実質は8ホストが高密度で詰まっているので、仮想化されたサーバと比較したくなる。リソースの振り分けとかが仮想化サーバよりも柔軟じゃない分こちらの方が使い勝手があまり良くないように思う。はてな社がやっているように一つをメモリ山盛り、一つをCPUたっぷりといった構成が取れない。シングルスレッド性能も600MHzのCortex-A9なので、最近のマルチコアと比べてやや見劣りするかもしれない。
FacebookはARMをサーバ機に使う気満々のようで
Facebook のシングル・スレッドについて言われる、充分な速度を満たすという基準にまで、ARM の CPU パワーが成長したように思える。
http://agilecat.wordpress.com/2010/08/24/arm-%e3%82%b5%e3%83%bc%e3%83%90%e3%83%bc-dc-%e3%81%ae-%e4%b8%80%e7%95%aa%e6%89%8b%e3%81%8c-facebook-%e3%81%ab%e3%81%aa%e3%82%8b%e3%81%a8%e3%81%84%e3%81%86%e3%82%a6%e3%83%af%e3%82%b5-cloud-cloudcom/
とある。余談だが、彼らは自分達のサービスが何MIPS(という指標ではないのかもしれないが)あれば1つの処理スレッドを満足できる速度で完了できるか正確に把握しているのだな。これは素晴しい。
消費電力が最大でも80Wというのはかなり良くで、Intelのチップベースの最近の1Uサーバでの消費電力と比べても1/2から1/3以下である。ただし、性能当りに換算するともうちょっと差は縮まるはず。
今後はよりサーバでの利用をメインターゲットにしたSoCが出る予定なので、それを使ったサーバが出てくるとシングルスレッド性能も十分に競争力のあるものになると思われる。本格利用は早いところでも来年半ば以降だろうか。
ATOKのトライアル版の感想
今朝公開されたATOK for AndroidをNexus Oneに入れられたので、感想など
- レスポンスがいい
体感的にはOpenWnnと同等でストレスなく使えた
- ジェスチャー入力は微妙
フリックよりも選択できる候補が多いのでストロークを減らせる可能性はあるが、母音ごとに入力できる候補の数が違ったりするので完全に記憶して操作するのは難しいと思った
- 変換効率は言わずもがなだが、優秀
- 特殊入力(定型文入力など)はちょっと凝りすぎな感じも
twitterで見ていたら同じように多くの人が要望として挙げていたが、アルファベット入力時には自動でQWERTY配列に切り換えられるようにして欲しい。あと、入力後トラックボールの入力を予測変換候補の選択のためにフォーカスを取られてしまうのが気になった。入力直後は文字編集のためにトラックボールなどで戻ろうとする操作をするので、フォーカスを取られるのは困る。
当面はAndroid MarketでドコモSIMを搭載したモデルのみを対象とする制限付きでの配布のようで、公式にはGalaxy SとXperiaのみを対象とする配布のため、物理キーボードを持つモデルとの相性がいまいちだったりする部分もあるのでこの辺も製品版では改善を期待したい
まだ値段が発表されていないけど、これで2000円以下なら迷わずに買うと思う。それだけの額で入力効率が大幅に改善されるのならば、安いものだ。
UQ WiMAXのいいところ、悪いところ
- (実効速度が)速い
- 安価
- 契約による縛り期間が短かい
- 料金プランがシンプル
定額、2段階定額、1日プランと普通に想像できるプランが一通り揃っている。明日から1年縛りが開始されるので、徐々に複雑になっていくのは危惧している。
- 回線遅延が短い、あるいは一定している
私の環境では90ms前後で比較的安定していた。その昔WILLCOMでは酷くRTTが遅い回線だったので、それに比べると快適だった。
- 一つの契約で複数のデバイスを利用できるオプションがある
あまり話題になっていないが、地味にいいなと思うサービス。月200円で追加デバイスを接続させてくれるもの。ただし、同時には接続できない。普段はモバイルAPを持ち歩いていて、ときどきPCに内蔵のWiMAXを使うときなんかに便利そう。WiMAX搭載のスマートフォンが出てきたときには小さい追加負担で持てると期待。
以下は悪いところ
- 建物の内部への電波の浸透が悪い
2.5GHzという高い周波数を使う問題と建物にリピータやアンテナ施設が無いことによるのだろうが。窓際に行かないと入らないという印象
- 高速移動時にハンドオーバーに失敗する
規格上は120km/hまではハンドオーバー可能なはずだが、在来線を走行中もハンドオーバーに失敗することがあった。アンテナの設置密度などによるのかもしれない。WiMAX2ではハンドオーバー性能もかなり向上するとのことなので、そちらに期待
- 無線区間の断によるレイヤ3の再接続が発生する
emobileなどでは無線区間がトンネルなどで電波が受信できない状況になっても、レイヤ3での接続は切断されず電波が回復次第再接続し、TCPのコネクションが生きていることが結構あるが、WiMAXでは即切断される。これは原理上しかたがないのかもしれない。
あとは解消した悪いところなど。
モバイルAPの電池がもたないことが不満だったが、新型はかなり持つようになったとのこと。
次に期待するのはバッファローが作ったポータブルWiFiのように街中に展開している公衆無線LANサービスとのゲートウェイも兼ねるモデル。地下ではWiMAXの電波が全く入らず、地下鉄の駅などで展開している無線LANサービスに頼らざるを得ないのでモバイルAPがその間をスムーズに橋渡ししてくれると嬉しい。
SoCのスペックの読み方について
スマートフォンで使われるSoC
ARMのコアを中心にベースバンド機能、グラフィック、その他PCにおけるチップセットぐらいまでを一つのチップに搭載した半導体。System On Chip。
例えばi.MX53シリーズでは
- ARMプロセッサコア
- グラフィックコントローラ
- メモリコントローラ
- USBコントローラ
- GPIC
- SDカードコントローラ
- PATA/SATA
- UART
- 小容量のROM/RAM
- など
まさに1チップコンピュータと呼べるほどの機能を集積している。
CPUコア
現行のSoCはほとんどCortex-A8で横並び。次の世代はCortex-A9か同 MPCore。クロック当りの性能が向上したりマルチコアになったりする。
命令セットとしてはARMv7、古いAndroid端末ではコアの世代が一つ前のARMv6(シリーズ名としてはARM11)しか対応していないものもあり、これらでは一部のバイナリが動かない。有名なところではAndroid版FlashがARMv7の命令を使っているようでARMv6では速度以前に動かない。
Qualcomm Snapdragon
Qualcommが開発したSoC。Nexus Oneを始め現代的なスマートフォンに標準的に採用されているチップ。携帯電話のベースバンドチップを作っていた頃からの流れからか、サポート体制が良いためかCortex-A8としては早い時期から対応していたためか、採用例が非常に多い。
グラフィック部分はAdreno(後述)。第一世代でAdreno 200、第二世代ではAdreno 205、第三世代ではAdreno 220。
QSD8250/8650という1GHzで稼動する第一世代のチップを使っている場合が多いが、第二世代のMSM7230/7630を使っている製品も出始めている(HTC Desire ZやDesire HDなど)。第二世代では性能によって幾つかのバリエーションが出来た。世代が進んでプロセスルールが65nmから45nmに変っているが、クロックは1GHzから800MHzへ下がっている(MSM7630など)。採用製品でのベンチマークを見る限りはクロックが下がっているが性能的には遜色ないようだ。プロセスルールの変更と合わせて、消費電力が下がっている模様。
同じ世代の型番違いは、無線部分の対応技術が違う。
AndroidだけでなくWindows Phone 7でも使われており、全てのモデルでSnapdragonを使うことでハードウェアのスペックを統一している。
Samsung Hammingbird
Galaxy Sで使われているチップ。直接利用しているのは同社以外で見たことはないが、Apple A4はバリエーションの一つであると思われる。
Cortex-A8とPowerVRの組合せ。
Apple A4ではメモリとの接続が64bit幅になっていることが性能向上への寄与が大きいのではないかと言われていた。
Texas Instruments OMAP
携帯電話向けSoCの老舗。ARM9ベースのOMAP1、ARM11ベースのOMAP2を経て、現行はCortex-A8ベースのOMAP3
Motorolaの端末で良く使われている。Beagle Board、Palm PreやNokia N900などでの利用もある。
グラフィック部分はPowerVR。
次の世代であるOMAP4ではプロセッサ部分がCortex-A9MPになりマルチコア化するらしい。
Freescale i.MX
Freescaleが作っているSoC。
Kindle、Gigabeatなど採用例は多いが、現行のフラグシップ機のスマートフォンで使うには非力であるためか採用例をあまり見ない。
E Inkの制御機能を搭載していく方向で進化していくのかも。
NVIDIA Tegra
NVIDIAのSoC。
Teagra1ではプロセッサがARM11で、Tegra2ではCortex-A9 MPCoreというのが他とちょっと違う。グラフィックは本業なので専用のものが実装されている。
採用例としては、Zune HDやDynabook AZなど。
AZでの評価を聞く限り凄いカタログスペックに相応わしい体感速度であるらしい。
組込み分野では新参者であるためか、採用例はまだまだ少ない。Linuxで使う場合もコードが公開されていないblobを大量に使わなければいけないなど、やや毛色が違う。